先日、映画好きの友人に勧められ【パラサイト半地下の家族】を観てきました。
韓国映画ということもあり敬遠していましたが、意外に面白かったので紹介したいと思います。
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【パラサイト半地下の家族】は何故面白い?
半地下住宅という題材がメディアでは一番取り上げられていました。
ですが、この映画の面白さは全く違うところにあると思います。それは、
物語の進むテンポが絶妙!
映画の上映時間は2時間12分。普通の映画と比べると20分~30分長いです。
長い映画はどうしても退屈してしまう時間、間延びした場面などがありがちですが【パラサイト半地下の家族】にはそれが殆どありませんでした。
上映から1時間を過ぎた辺りです。観客がだれてきたところで徐々に場面が切り替わり、そこからは怒涛の展開に。
物語の始めは少し物足りなく感じたり、説明っぽく感じましたが映画を見終わって改めて思い返してみると必要なプロセスだと納得できました。
途中で善悪が入れ替わる
初めは、加害者であり貧しいキム一家の人達が悪役として描かれています。
冒頭のシーンではキム一家の生活、言動、モラルの無さに見ている人は嫌悪感を抱くと思います。
私も見始めた直後は「最後まで席に座っていられるだろうか…。」と思うぐらい不快なシーンの連続でした。
ですが後半は、裕福な家庭でパラサイトされている被害者であるパク一家に不快感を抱くようになります。
そして、ラストでは立場が逆転するのです。
映画のジャンルを超える
映画はある程度ジャンル分けできるものです。
SF、コメディ、アクション、ホラー、ミステリーなどたくさんの種類があります。
【パラサイト半地下の家族】のジャンルはというと、ブラック・コメディになっています。
ですが、観る人によってはサスペンス、ヒューマンドラマ、ミステリー、サイコホラーなど人によって様々だと思います。
【パラサイト半地下の家族】はジャンル分けするのが難しい作品です。
前半はコメディ。中盤はサスペンス。後半はサイコミステリーとたくさんのジャンルが一つの映画になっている作品なのです。
観ている人にわかりやすい
映画の中には、観ていてよくわからなくなる作品が多いです。
設定が難しかったり。登場人物の説明が不十分でわかりにくかったり。時系列がいきなり変わったり。
そんな所が【パラサイト半地下の家族】にはありません。
観る人に、とても親切にわかりやすく作られていると感じました。
前半で状況説明、登場人物の紹介が自然な流れで物語に練りこまれいるし、時系列もわかりやすい。
ある意味、とてもシンプルな映画だと思います。
登場人物
キム一家(貧しい半地下生活)
キム・ギテク
半地下住宅に暮らす全員失業中の一家の主。楽天的な性格。
キム・ギウ
ギテクの息子。浪人中で受験経験豊富だが学歴はない。
キム・ギジョン
ギテクの娘。美大を目指している。
キム・チュンスク
ギテクの妻。元ハンマー投げメダリスト。
パク一家(裕福な豪邸生活)
パク・ドンイク
高台の豪邸に暮らすIT企業の社長。
パク・ヨンギョ
ドンイクの妻。騙されやすく、能天気な性格。
パク・ダヘ
パク家の娘。高校2年生で、受験勉強に励んでいる。
パク・ダソン
パク家の息子。落ち着きがない。ヨンギョに美術の才能があると思われている。
その他
ムングァン
パク家の家政婦。
グンセ
ムングァンの夫。
ミニョク
ギウの友人。名門大学に通う
ネタバレ!注意!
キム一家の偽りだらけの就職活動
キム一家は4人家族。父ギテク、母チュンスク、息子ギウ、娘ギジョン。
全員失業中で、ピザ屋のピザの箱を組み立てる内職をしてなんとか生活をしていた。
そんな時、ギウの友人で大学生のミニョクがやってきて富をもたらす山水景石という石をくれる。
ミニョクは自分が留学する間、パク家の女子高生ダヘの家庭教師をやって欲しいとギウに頼む。
ギウは大学生ではなく浪人生だが、経歴を偽り家庭教師をすることになる。
高級住宅地の裕福な家、パク家にはIT企業の社長のパク氏、妻パク夫人、娘ダヘ、息子ダソン。
ギウは、ダソンの絵の家庭教師に妹のギジョンを紹介。ギジョンは芸術療法士を装いパク家を訪れる。
うまくパク夫人を騙し、信用させたギジョンはダソンの家庭教師になる。
その後、妹ギジョンはパク氏の運転手を罠にはめ解雇させる。
運転手がいなくなり困っているパク氏に、ギジョンは父のギテクを親戚の良い運転手と偽り紹介する。
そして、父ギテクもパク家の運転手として雇われる事に。
ギジョンはパク家に仕える家政婦ムングァンにも策略を巡らせ、パク夫人が解雇するように仕向け成功する。
新しい家政婦には母チュンスクが雇われることになる。
こうして、キム一家は全員が家族である事を隠しながらパク一家への就職に成功する。
パラサイト計画の破綻
ダソンの誕生日、パク一家はキャンプ旅行に行き家を空けることに。
その留守を良いことに、キム一家は豪邸をまるで自分の家のように扱い、贅沢を楽しむ。
激しい雷雨となった夜、元家政婦のムングァンが訪ねてきて地下に忘れ物をしたので家に入れて欲しいと言ってくる。
チュンスクは仕方なくムグンファンを家に入れる。
ムグンファンが隠し扉を開くと、地下室にはムグンファンの夫、グセンがいた。
パク一家が地下室の存在を知らなかったのを良いことに、ムグンファンは夫を借金取りから隠すために、こっそり地下室に住まわせていたという。
ムグンファンがチュンスクに夫婦の秘密を言わないで欲しいと懇願していると、隠れていたギテク、ギウ、ギジョンが足を滑らせ出て来てしまう。
ムグンファンは彼ら4人が家族だとであることに気づき、キム一家の詐欺を暴露すると脅す。
キム一家とグンセ・ムグンファン夫婦がもみ合いになったいるところに、パク夫人から電話が掛かってくる。
大雨でキャンプが中止になり、まもなく帰宅すると。
キム一家はグンセ・ムグンファン夫婦を地下室に押し込む。
パク一家が戻ると、チュンスク以外のキム家の3人は身を隠す。
パク夫人はチュンスクに、息子ダソンが何年も前にこの家に中で「幽霊」(グンセ)を見て失神したことがあると話す。
ギテク、ギウ、ギジョンが近くに隠れている所で、パク氏は妻に「ギテクは有能な運転手だが切干し大根か雑巾の臭いがして、如何ともしがたい。」と話す。
それをギテクは聞いてしまい、戸惑った表情を浮かべる。
パク一家が眠りについたところで、キム家の3人は豪邸を行け出すことに成功する。
地下室に押し込まれたグンセは地下室にある家の照明スイッチを使い、モールス信号で助けを求めたが気づかれることはなかった。
キム一家、パク一家のその後…。
翌日、パク一家は息子ダソンの誕生パーティーを開くことに。
その準備のためにギテク、ギウ、ギジョン、チュンスクの4人も駆り出されることになった。
地下室に閉じ込めたグンセ・ムグンファン夫婦が気になっていたギウは、山水景石をもって地下室を訪れる。
しかし、待ち伏せをしていたグンセに襲われてしまう。
地下室を出たところで追いつかれ、山水景石で頭を殴られ、大量出血し意識を失ってしまう。
その後、グンセはキッチンの包丁を手にすると、庭でパーティーに参加していたギジョンを刺す。
「幽霊」のグンセを見たダソンは失神してしまう。
父ギテクが刺された娘ギジョンを助けようとしていると、パク氏が失神したダソンを病院に連れていくと、運転手ギテクに叫ぶ。
ギテクはパク氏に車のキーを投げるが、車のキーは揉み合っているグンセとチュンスクの下に落ちてしまう。
チュンスクは何とかバーベキューの鉄串でグンセを刺し殺す。
パク氏はグンセの近くにある車のキーを手に取るが、地下室でずっと生活していたグンセの臭いに表情を歪め、後退りする。
その臭いに対するパク氏の反応を見たギテクは、衝動的にパク氏を刺し殺してしまう。
数週間後、ギウは昏睡状態から目を覚ました。
チュンスクとともに文書偽造、住居侵入の罪で裁判にかけられたが、執行猶予付きの判決が出たため刑務所には収監されずに済んだ。
グンセに刺された妹のギジョンは亡くなっていた。
一方、パク氏を刺し殺した父ギテクは行方不明になっていた。
ギウは山に登り、あの豪邸を見下ろすと、家の電灯がモールス信号の点滅をしていることに気づく。
モールス信号は父からの手紙で、父ギテクは秘密の地下室で生きていた。
豪邸に、今は外国人が入居しているという。ギテクは家から食べ物を盗みながら孤独な生活を続けていく。
息子ギウは、いつの日かこの邸宅を手に入れ父を開放する事を決心し、物語は終わりを迎える。
まとめ
パラサイト半地下の家族は見終わって爽快感や高揚感を感じたり、感動して涙を流すような気持のいい映画ではありません。
見終わった後はもやもやしたり、不機嫌な気持ちになるようなそんな映画に私は感じました。
いい意味で悪趣味な映画。
それが、私の感想です。